賢い経営者の消費税の納め方

消費税は赤字でも納めなければなりませんし、預かっている認識が薄れてしまうこともあり、「こんなに払うのか」と驚いてしまうこともあると思います。なるべく納める金額も少なくできれば良いですよね。今回は中小企業や小規模事業者を対象とした消費税の特例制度【簡易課税制度】について理解をして、どの場合にどの課税方式が優位に働くのかを見ていきたいと思います。まずは次の表をご覧ください。

簡易課税は①基準期間の売上が5000万円以下の事業所であること かつ ②前課税期間末までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出していることが要件となります。

 原則的な課税方式(本則課税)の場合、実際に受け取った消費税から支払った消費税を差し引きして納税額を求めますが、簡易課税制度の場合は、売上に含まれる消費税に対して大体これくらいの消費税を支払っているだろう(みなし仕入率)とみなして、実際に受け取った消費税から差し引きすることができます。なお、業種によってみなし仕入率が違います。自社がどこに当てはまるのか確認してみてください。

 次に、実際に上記の方法で計算をしてみます。(計算方法は適宜簡略化)

 事例①は小売業でみなし仕入率は80%です。課税仕入が80%以下であれば簡易課税が優位になります。簡易課税制度ではインボイスの保存が不要なので、事務作業も軽減されるメリットもあります。 事例②と③を見てみます。

 事例②と③は美容院経営をしている事業所で、みなし仕入率はサービス業で50%です。売上も経費も同額で違いは設備投資をしたかどうかです。設備投資をした場合はその分の消費税を控除できる本則課税の方が優位に働きます。普段は簡易課税を選択している場合も設備投資を考えている場合は一時的に本則課税に変更することも検討するとよいでしょう。ただし、設備投資をする前課税期間末までに届出を出す必要がありますし、簡易課税は2年間の継続要件もありますので計画をたてて消費税の試算をしてみることがポイントになります。  令和5年10月には消費税のインボイス制度が始まります。消費税に向き合う事が必要になります。まずは消費税の制度を知り(おおまかでOK)、自社に合った制度を活用する!そして、事業計画をしっかり立てて、大きな設備投資をするであろう前課税期間に課税方法の選択変更を検討する!そのようにしていくと、消費税額をコントロールできるのではないかと考えます。