インボイス制度 連載第4回 

消費税のインボイス制度が2023年10月から始まりますね。

免税事業者にとって大きな転換期となります。免税のままでいくのか、課税事業者として納税するのか悩ましいところだと思います。

ポイントは、取引先(売上先)がインボイスを必要とするかです。例えば、売上先が消費者、免税事業者、簡易課税選択事業者であればインボイスを求められることはないので、免税のままでも影響はありません。

では、免税事業者の売上先が課税事業者の場合、どのようなことが起こるのでしょうか?

●仕事が減る可能性がある

免税事業者は適格請求書を発行できないので、免税事業者から仕入れた課税事業者は仕入税額控除は受けられません。仕入税額控除が受けられなくなる分、取引金額について消費税分の金額の値引き交渉をされる可能性があります。

また、適格請求書を発行できる課税事業者との取引に変更する事業者が増え、免税事業者の仕事が減ることがあるかもしれません。

※ただし、免税事業者との取引に対して経過措置があります。課税事業者は免税事業者と取引を行った場合、3年間は80%控除、その後3年間は50%控除が認められていますので、6年間はそこまで大きな変化はないかもしれません。

●課税事業者になると納税義務が発生する

申請することで免税事業者から課税事業者になることができ、適格請求書の発行が可能となりますが、課税事業者になるとそれまで支払っていなかった消費税を納税することになります。また、申告業務も発生し負担が増えることが予想されます。

※ただし、2023年度税制改正大綱では、消費税の納付を免除されている売上高1000万円以下の小規模事業者が『課税事業者』を選択した場合、3年間は納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置を講じる方針です。

●シミュレーションとコミュニケーションが大事 そして政府の動向をキャッチすること

▶免税事業者でいく場合

仕事が減って売上が落ちた場合のシミュレーションを行ってみましょう。

▶課税事業者に変更した場合

納税額や新たに発生する費用のシミュレーションを行ってみましょう。

経過措置や緩和措置がある間に、上記のシミュレーションを行い、比較をして検討をすることをお勧めします。

また、取引先の意向を聞くのも大事だと思いますので、コミュニケ―ションが自社の方向性を決める材料になるかと思われます。自社にとって最適な方法を選択できるように準備が必要です。