失敗しない起業・創業・法人成り 第4回
2024年05月07日
今年は起業・創業・法人成りを考えている方に向けて毎月情報を掲載してまいります。
第4回目です。
これから起業をお考えの皆さんに考えておいていただきたいポイントを4つ提示しました。
①起業後の将来像(夢・目標)をしっかり描いていますか?
②夢を実現させるためのプラン(計画)をたてていますか?
③資金繰りは大丈夫ですか?ご自分の報酬や従業員給与はどのように考えていますか?
④個人事業主と法人の違いを知っていますか?
今回は、
③資金繰りは大丈夫ですか?ご自分の報酬や従業員給与はどのように考えていますか?
です。
第1回はこちら
第2回はこちら
第3回はこちら
もくじ
③資金繰りは大丈夫ですか?ご自分の報酬や従業員給与はどのように考えていますか?
●資金はどれくらい必要なのだろう?
開業当初から潤沢な資金をお持ちの場合は、特に問題にならないかもしれません。
ですが最初から資金が潤沢にあるということはほぼありません。
開業1年目に必要な運転資金目安は、
社長1名、 報酬25万円
従業員の雇用無し
事務所賃貸
社用車1台
もちろん他にもさまざま要因ありますが、少なくとも1000万円から1500万円とみています。
これまで開業当初から事業活動を見てきた企業の1年目の経費が大体これぐらいでした。
1カ月100万円から150万円程度の支出です。
従業員がいれば、1500万から2000万です。
正直、結構使うな・・・と思いました。
節約しなさいよ、と伝えても最終的に決めるのは経営者であり私ではありません。
経営者が必要と思えばお金を使うわけです。
●手持ち資金がなくなっていく恐怖
開業当初は自己資金でも借入でも、それなりに資金がまとまってあります。
そうすると気が大きくなって、必要なものだと理由を考えて色々と購入される方が多いです。
誤解を恐れず言うならば、日ごろ創業したての経営者の方へは、
「売上を生まない(金を増やさない)お金は使うな」
と言っています。
よく例にして言うのですが、
「豪華な応接セットがないと取引先は商談に応じてくれないのか?」
「創業1年目、2年目で見栄を張ると首を絞める」
そうはいっても維持費として売上を生まないお金が必要なこともわかっています。
ですが、「そうしたい」と「そうしなきゃいけない」を間違えないようにしてください。
その為の「事業計画」でもあります。
自転車操業という言葉は耳にされたことがあるかと思いますが、
創業期においては、自転車操業にも及びません。
売上が入ってくるまでは、ただの「垂れ流し」です。
売上がないと2、3ヶ月ほどで目に見えて資金が減ってきます。
支払いの日は大体決まっているので、あと何回払えるか・・・なんてことを考えるようになります。
そうなってくると、今度はすぐお金になりそうなことを優先するようになってきます。
資金が乏しくなり事業への長期的な投資が難しくなるからです。
この時によく聞くのが、
「儲かると〇〇から聞いた」
「〇〇して儲かっているらしい」
自分で考えたアイデアではなく、人のビジネスモデルに乗る。
しかも特に吟味もせずに(時間がないので)取り組んでしまう。
真似が悪いわけでも、取り掛かりが早いことが悪いわけでもないのですが、
問題は、その”儲かるビジネスモデル”はどのような背景でどのようなスキームで儲かっているのか。
自分にそれが当てはまるのか? 同じ状況を作れるか?
そういった検討をすべて無視していることです。
この状況で成功した方は私の見てきた中には一人もいません。
お金が無くなってくると思考が短絡的で悲観的になりがちです。
このような精神状態では上手くいくものもいかなくなってしまいます。
「キャッシュがあることのありがたみは、無くなってはじめてわかった」
と、とある社長もいっておりました。
●報酬、給与は結果が出てから上げよう
ここまでお話してきました内容を理解いただけるのであれば、このタイトルも納得いただけるのではないかと思います。
社長から「役員報酬をいくらにしたらよいですか?」と聞かれることが良くあります。
数字的には明確に出ているのですが、やはり数字の苦手な方は少なからずいらっしゃいます。
そこで「いくらにできると思いますか?」と逆に問いかけます。
意地悪な気持ちではなく、社長自身の前年の事業活動を踏まえてどのように感じているのか肌感覚を知るためにうかがっています。
「忙しかったから、これくらい上げても大丈夫だろう」とか「結構お金使ったから現状維持か下げないとまずいか」など色々お答えを頂きます。
その答えに対して、数字をもとに理由を説明し、次年度の計画を伺いながら一緒に報酬を決定しています。
社長のような役員であっても、従業員であっても、会社の成長に貢献してくれた結果は何かしらの形で報いるのが良いでしょう。
長続きするモチベーションではないですが、何もしなければ不満は確実に溜まってきます。
ですが、結果が出る前に”期待値だけで”必要以上の報酬、給与を与えることは良いと思っていません。
すべてが次の話の通りとは限りませんが、一例をあげます。
前の回まででもちょいちょい出てきていたお話です。
以前、起業相談に来られた方とお話をしました。
すごくアツく夢を語られており、起業に対する意欲も十分にありました。
開業時資本金は300万円。これまでコツコツ貯めた自己資金で賄うということでした。
仕事をする中で知り合った人を引き抜いて営業をやってもらうことにした。
開業時からその人に営業を任せたいと思っている。
ということで開業時から雇用が発生するとの情報です。
そこでまず伺ったのは、
「開業時の取引先(売上先)はある程度目途が立っていますか?あるとしたらいつからいくらくらい売上が立ちますか?」
その社長からは、「今現在は決まっているところはありませんが、その営業をする奴がすごい優秀なやつなのですぐに売上が立つ予定です。」
・・・なるほど・・・不安・・・会社の未来は従業員にかかっているということですね・・・
コスト面のお話や資金面のお話を一通りし終わり、大まかに固定費がつかめたところで人件費に関するお話となりました。
「社長ご自身の報酬はどう考えていますか?」
「生活のこともあるので支給額で50万円くらいを考えています。」
・・・え・・・と思いましたが理由を伺いました。
「それくらい貰わないと生活できないかと」
一旦保留し、
「ちなみに従業員の方の給与はどれくらいで考えていますか?」
「やはり50万くらいで考えています。すごい優秀なやつなので。」
売上見込みがない中で、支給額だけで社長と従業員で100万円。法定福利費含まずです。
資本金は300万円。単純な引き算です。
私は、
「開業3か月で資金ショートする可能性が高いです。おそらくショートする可能性のほうが圧倒的に高いと思っています。
仮に開業初月に売上が立ったとしても、入金されるのは翌月以降だと思います。
人件費だけで毎月100万以上支出することになります。
借り入れや自己資金投入する準備など検討していますか?ないのであれば再検討されたほうが良いと思います。」
と提言しました。
すると社長さんから「いや大丈夫です。それだけの給与に見合った仕事ができるはずなので大丈夫です。」
私、「最終的には社長が決めることですが、一度考え直したほうが良いです。従業員に対して結果が出ていないところでそれだけの評価は正直危険です。
役員報酬については、初年度は預貯金があるようでしたらギリギリまで下げたほうが良いです。
売上見込みがないところでその50万の報酬のまま資金が無くなり結局社長が自己資金を出すとなると社会保険料や所得税分損することになります。」
何度か説得したのですが、絶対大丈夫だと言い張り撤回されないので、やむなくそのまま開業することになりました。
結果は、残念ながら予想通りとなってしまいました。
従業員は前職よりも給与が良くなったようで、その給与に胡坐をかくようになり熱心に仕事をしなくなってしまったのです。
売上は思うように上がらず、しまいには社長と従業員は喧嘩別れとなってしまったそうです。
このように基本的には、前年度の利益実績や資金状況を踏まえて、報酬、給与は決定していくべきでしょう。
特に開業初年度の報酬・給与の決定は慎重になっていただきたいところです。
設備投資もそうですが、
過大な人件費は大きく財源を圧迫します。逆に少なければ不満がたまります。
人件費率や労働分配率という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
これらの指標は売上や売上総利益に対する人件費の健全性を見るものです。
こういった指標を用いつつ事業計画を練ることがとても重要なのです。
最初からそんなもの作れないよ!
という方はぜひ一度私共へご連絡ください。初回ご相談は無料で対応させていただいております。
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