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労働保険事務を委託するには

2018年04月10日

委託事業主の範囲

労働保険事務の処理は、事業主自らが行うべきものですが、中小企業の事業主に限っては、特別の法律関係のもとで労働保険事務組合に委託してこれらの処理を行うことが認められています。この労働保険事務組合に委託することができる事業主は、次の要件に該当する事業主です。

使用する労働者数(企業全体の)が次の規模以下であること。

①金融業、保険業、不動産業又は小売業を主たる事業とする場合は、その使用する労働者数が50人以下の事業主

②卸売業又はサービス業を主たる事業とする場合は、その使用する労働者数が100人以下の事業主

③製造業など上記①及び②以外の業種の場合は、その使用する労働者数が300人以下の事業主

労働保険事務組合である団体(連合団体のときは、加盟単位団体)の構成員である事業主

なお、その団体の構成員以外の事業主であっても、労働保険事務組合に委託が必要であると認められるものは、これに準じて扱われます。

委託事務の範囲

労働保険事務組合に委託する事務の範囲は、事業主が行うこととされている次の事務のすべてとされています。

  • 概算保険料、確定保険料その他労働保険料と一般拠出金及びこれに係る徴収金の申告、納付
  • 雇用保険の被保険者資格の取得及び喪失の届出、被保険者の転入及び転出の届出その他雇用保険の被保険者に関する届出等に関する手続
  • 保険関係成立届、雇用保険の事業所設置届等の提出に関する手続
  • 労災保険の特別加入申請、変更届、脱退申請等に関する手続
  • 労働保険事務処理の委託、委託解除に関する手続
  • その他労働保険の適用徴収に係る申請、届出、報告等に関する手続

委託手続と委託事業主の特典

委託手続

中小企業の事業主が、労働保険事務組合に事務を委託しようとするときは、所定の事項を記載した「労働保険事務等委託書」を委託しようとする労働保険事務組合に提出し、労働保険事務組合の承認を得る必要があります。委託が承認されれば、委託事業主の事務に関しては、委託した労働保険事務組合において行われることになります。委託した後の具体的な事務処理に関しては、委託先の労働保険事務組合にお問い合わせ下さい。

委託事業主の特典

中小企業の事業主が労働保険事務組合に事務の委託をして、労働保険に加入することは、政府(厚生労働省)が推奨しているもので、次の特典が用意されています。

労災保険への特別加入

労災保険は、労働災害を被った労働者やその遺族に、災害補償給付を支給する制度ですが、これは、もともと労働者の災害補償として創設されているものです。しかし、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業に関しては、事業主や家族従事者等は、その事業の労働者とともに労働災害の補償を受けることができる「特別加入制度」に加入することができます。この制度は、労働保険事務組合に事務を委託することを積極的に推進するために設けられているもので、この制度に加入するために労働保険事務組合に事務を委託したという事業主も数多くいます。

特別加入の保険料と保険給付の内容

厚生労働省作成パンフレットをダウンロードしてください。

労働保険料の分割納付(延納)

労働保険料の納付は、年1回、6月1日から7月10日までに概算保険料を納付して行うことになっています。労働保険料が多額の場合(40万円以上。有期事業では75万円以上)には年3回の分割納付が認められていますが、労働保険事務組合に事務を委託した事業主に関しては、労働保険料の額の如何にかかわらず、この分割納付の制度が適用になります。この場合は、2期・3期の納期限は、労働保険事務組合の委託事業主に限っては、それぞれ11月14日、2月14日とされています。もっとも、この納期限は、労働保険事務組合が政府に納付する期限ですので、労働保険事務組合と委託事業主の間で、労働保険事務組合が納期限までに納付できるように交付する日を取り決めることとなります。

全国労保連の事業への参加

労働保険事務の処理を委託する労働保険事務組合が全国労保連の会員の場合には、全国労保連が実施する事業主及び労働者の福祉のための各種事業に参加できます。
なお、全国の労働保険事務組合の8割以上が全国労保連の会員となっています。

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