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通勤災害か否かの判定基準

2018年04月10日

(1)通勤の定義

「通勤」とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされている(法第7条第2項)。

イ 住居と就業の場所との間の往復

ロ 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

ハ イに掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動
(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

(2)通勤経路からの逸脱は?

①「逸脱」とは、通勤の途中で就業又は通勤とは関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、通勤の経路上において通勤とは関係のない行為を行うことをいう。

逸脱・中断とみられる具体例をあげると、帰宅途中で映画館へ入る場合、バー、キャバレー等で酒類を飲む場合、パチンコ店に入る場合等、経路からはずれる場合がこれに該当する。しかし、労働者が通勤途上において経路の近くにある公衆便所を利用する場合、経路上の店でタバコや新聞等を購入する場合等、労働者の通常の通勤行為に附随するとみられる些細な行為を行う場合には、必ずしも逸脱・中断として取扱われるとは限らない。

ただし、飲み屋やビヤホール等において、長時間にわたって腰をおちつけるに至った場合や、経路からはずれ又は門戸を構えた観相家のところで、長時間にわたり、手相、人相等をみてもらう場合等は、逸脱・中断に該当する。

②通勤の途中において労働者が逸脱・中断を行った場合には、それ以降の移動行為は就業に関してする行為というよりは、むしろ逸脱又は中断の目的に関してする行為と評価されるため、その後再び経路に復したとしても、原則として通勤とは認められない。

しかし、当該逸脱又は中断が「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」をやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、当該逸脱又は中断の間を除き、再び合理的な経路に復した後は通勤とされる。

この場合の「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」としては、次のようなものが定められている(則第8条)。

ⅰ)日用品の購入その他これに準ずる行為

ⅱ)職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

ⅲ)選挙権の行使その他これに準ずる行為

ⅳ)病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

ⅴ)要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

なお、「やむを得ない事由により」とは、日常生活を維持していくための必要から通勤の途中で行う必要のあることをいい、「最小限度のもの」とは、当該逸脱又は中断の原因となった行為の目的を達成するために必要とする最小限度の時間、距離等をいい、これを大幅に超える場合には、単なる逸脱又は中断として取扱われることになる。

② 通勤の途中において労働者が逸脱・中断を行った場合には、それ以降の移動行為は就業に関してする行為というよりは、むしろ逸脱又は中断の目的に関してする行為と評価されるため、その後再び経路に復したとしても、原則として通勤とは認められない。

しかし、当該逸脱又は中断が「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」をやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合には、当該逸脱又は中断の間を除き、再び合理的な経路に復した後は通勤とされる。

この場合の「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」としては、次のようなものが定められている(則第8条)。

ⅰ)日用品の購入その他これに準ずる行為

ⅱ)職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

ⅲ)選挙権の行使その他これに準ずる行為

ⅳ)病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

ⅴ)要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

なお、「やむを得ない事由により」とは、日常生活を維持していくための必要から通勤の途中で行う必要のあることをいい、「最小限度のもの」とは、当該逸脱又は中断の原因となった行為の目的を達成するために必要とする最小限度の時間、距離等をいい、これを大幅に超える場合には、単なる逸脱又は中断として取扱われることになる。

管理職として知っておいてほしい知識

(1)支給制限が次の場合行われる。

① 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡し、又は、その直接の原因となった事故を発生させたときは、業務又は通勤との因果関係が成立しないため、保険給付を行わない。(労災法第1条第1項)。

「故意」とは、自分の行為が一定の結果を生ずべきことを認識し、かつ、この結果を生ずることを認容することをいう。ただし、被災労働者が結果の発生を認容していても業務との因果関係が認められる事故については、本項の適用はない(昭和40年基発第901号)。

ここにいう「故意」については、結果の発生を意図した故意であるとの解釈がなされているが、精神障害を有するものが自殺した場合の取扱いについては、業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合には、結果の発生を意図した故意には該当しない。なお、遺書等の存在については、それ自体で正常な認識、行為選択能力が著しく阻害されていなかったと判断することは必ずしも妥当ではなく、遺書等の表現、内容、作成時の状況等を把握の上、自殺に至る経緯に係る一資料として評価するものとされている(平成11年基発第544号、基発第545号)。

② 労働者が、故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはその原因となった事故を発生させたときは、「保険給付の全部又は一部を行わないことができる」こととされているが、具体的には次の基準による保険給付の支給制度が行われる(労災法第1条第2項前段、昭和52年基発第192号)。

イ 支給制限の対象となる保険給付……休業補償給付・休業給付、障害補償給付・障害給付(再発に係るものを除く)、傷病補償年金・傷病年金

ロ 支給制限の期間……支給事由の存する間(障害、傷病等の年金については、療養開始後3年以内に支払われる分に限る)

ハ 支給制限の率……保険給付のつど所定給付額の30パーセント

「故意の犯罪行為」とは、事故の発生を意図した故意はないが、その原因となる犯罪行為が故意によるものである(昭和40年基発第901号)。

「故意の犯罪行為」又は「重大な過失」に当たるものとして保険給付の支給制限の対象となるのは、事故発生の直接の原因となった行為が、法令(労働基準法、労働安全衛生法、鉱山保安法、道路交通法等)上の危害防止に関する規定で罰則の附されているものに違反すると認められる場合である(昭和52年基発第192号)。

③ 療養中の労働者が、診療を受けている医療機関又は所轄労働基準監督署長の療養に関する指示に正当な理由がなく従わずに傷病などの程度を増進させ、又はその回復を妨げたことが医学上明らかに認められるときは、前記②と同様に、「保険給付の全部又は一部を行わないことができる」こととされているが、具体的には次の基準によって支給制限が行われる(第2項後段、前掲通達)。

イ 支給制限の対象となる保険給付……当該傷病に係る休業補償給付又は休業給付、傷病補償年金又は傷病年金

ロ 支給制限の率……当該傷病の程度を増進させ、又は回復を妨げた事案1件につき休業補償給付又は休業給付の10日分、傷病補償年金又は傷病年金の365分の10相当額

ハ この支給制限は、労働者が指示に従わないことが何件かあれば、そのつど行われる。

「医療機関の療養に関する指示」とは、療養担当者が、当該労働者に対し療養に関する具体的指示を行ったことが診療記録等から明らかに認められる場合をさす。

「所轄労働基準監督署長の療養に関する指示」とは、所轄労働基準監督署長が当該労働者に対し、文書で具体的に指示を行った場合をいう。

(2)不正受給者からの費用徴収があることを忘れないで!

① 第1項の規定は、偽りその他不正の手段によって保険給付を受けた者がある場合に適用される(昭和40年基発第901号)。

「偽りその他不正の手段」とは、保険給付を受ける手段として不正が行われた場合のすべてをいい、その不正行為は、保険給付を受けた者の行為に限らない

「保険給付を受けた者」とは、偽りその他不正の手段により、現実に、かつ、直接に保険給付を受けた者をいい、受給権を有する者に限らない。

② 第2項の規定は、事業主の虚偽の報告又は証明によって保険給付が行われた場合に適用されるが、この「虚偽の報告又は証明」とは、保険給付の基礎となる重要な事項(たとえば、災害発生状況、死傷病の年月日、平均賃金等)について、事業主が労働者に不当に保険給付を受けさせることを意図して行った事実と異なる報告又は証明をいう(前掲通達)。

なお、事業主が虚偽の報告又は証明をしたために、不正受給が行われたときは、政府は、その事業主に対しても、不正受給者と連携して、不当利得分の納付を命じることができることとなっている。

(3)企業が訴えられる根拠

① 不法行為責任(民法第709条)

ⅰ)故意・過失があること(主観的要件)

ⅱ)違法性があること(客観的要件)

ⅲ)加害者に責任能力があること

ⅳ)損害が発生したこと

ⅴ)加害行為と損害との間に因果関係があること

② 使用者責任(民法第715条)

使用者責任とは、「ある事業のために他人を使用する者は、その被用者が事業の執行につき、第三者に加えた、不法行為による損害を賠償しなければならないとする責任」のことをいい、民法第715条に定められている。

③ 債務不履行責任とは

債務不履行責任とは、使用者は労働者に対し、労働契約上、生命および健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全保障義務)を負っており、その義務を怠った場合は民法第415条の債務不履行となり、これによる損害を賠償しなければならないとする考え。

ここで、まず、「債務不履行」の輪郭を知っておく必要がある。債務不履行とは、債務者が正当の理由がないのに債務の本旨に従った債務の履行をしないことをいい、不法行為とともに違法行為として損害の責任が生じることとなる。

債務の本旨に従った履行をしないというのは、法律の規定・契約の趣旨、取引習慣、信義誠実の原則等に照らしてみて適正な履行をしないことをいう。債務者(加害者)の責任が生ずるためには、

ⅰ)債務不履行が債務者の責に帰せられる事由に基づいていること。

ⅱ)債務者はその責に帰することのできない事由に基づくことを証明できないこと。

債務者の責に帰せられる事由とは、債務者自身の故意・過失だけでなく、履行補助者の故意・過失など債務者自身の故意・過失と同視できるものを含むとされている。

このように、債務不履行においては、不法行為の場合と異なり、立証責任は債務者(加害者)にある。

債務不履行の効果としては、①債権者は債務者に対し損害賠償を請求できるほか、②履行が可能であれば債務の強制履行を求めることができ、③債務が契約に基づくものであるときは契約を解除することができることとなる。

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