企業秩序の維持・懲戒
2018年04月10日
目次
(1)服務規定
服務規定については、大きく3つに分かれます。
- 労働の遂行に関する秩序
- 経営秩序、企業施設の維持管理に関する秩序
- 職場外での行動、企業の信用保持に関する秩序
以下にそれについて解説していきます。
労働の遂行に関する秩序
労働者は使用者の業務命令にしたがって労働を提供する義務を負います。
この場合、労働者が求められるのは「完全なる労務の提供」です。
心身の健康を保ち、所定の時間に毎日業務を開始している状態が、
「労働義務を果たしている状態」とされるのです。また、労働者は就業時間中、
業務に集中する義務を負います。これを「職務専念義務」と呼びます。
上記の「労働義務」と「職務専念義務」については、使用者(経営者)にとっては
当たり前のことですが、しっかりと就業規則で明記しておく必要があります。
経営秩序、企業施設の維持管理に関する秩序
会社の秘密情報についての守秘義務を課す
秘密保持は従業員の当然の義務です。ただし、企業秘密の流出が頻繁に起こっている現状では、就業規則にこの義務を明記することで、従業員の情報保護への意識を高めなければなりません。
パソコン、インターネットの私的利用の禁止
実務的には、パソコン、インターネットなどの私的利用は就業規則の規定で原則禁止とし、その上で、合理的範囲内の私的利用を認めるという旨と、その範囲を定義した社内ルールを定める必要があります。
企業内での政治活動、宗教活動の禁止
就業時間中に政治活動、宗教活動を行おうとする人がいますが、これは職務専念義務に違反するため、禁止することができます。また、休憩時間であっても禁止することは原則として問題にはなりません。
所持品の検査の実施
就業規則に根拠を明記した上で、防犯上の目的、あるいは情報セキュリティ上の必要性などから、従業員の所持品検査を行うことも可能になります。
セクハラについての対応
セクハラ防止は会社の法的義務になっていますので、必ず就業規則に明記する必要があります。
職場外での行動、企業の信用保持に関する秩序
私生活をある程度規制
就業規則で明記することで、会社の名誉を傷つけたり、会社の社会的評価に重大な悪影響を及ぼす場合は、従業員の私生活であっても、会社が規制することが可能になります。
従業員の飲酒運転の禁止
もちろんのことですが、就業規則に飲酒運転禁止の規定を入れることは、問題ありません。また、飲酒運転は悪質であり、会社の信用力を大きく落としかねませんので、懲戒についても規定する必要があります。
従業員の兼業、副業の禁止
結論から言うと、無制限に規制はすることができません。ただ、就業規則で
- 「兼業が不正な競業にあたる場合」
- 「働きすぎによって健康を害する恐れがある場合」
- 「兼業の態様が会社の社会的信用を傷つける場合」
については、禁止にすることができます。
(2)懲戒
懲戒とは、従業員が服務規定を破ったり、何か不始末をしたりした場合に、会社がそれに対して行う処罰のことをいいます。
会社の懲戒処分が有効になるポイント
- 「就業規則などに定めがあること」
- 「懲戒処分と処分の対象となった行為の均衡がとれていること」
- 「二重処分にならないこと」
- 「懲戒処分の手続を遵守すること」
また、懲戒についての内容なども就業規則に定めておかなければなりませんので、注意してください。
就業規則のポイント