石綿作業主任者について
一人親方労災保険の組合員様から石綿作業主任者の資格を取りたいけどどうすればいいのかとお問い合わせをいただきました。
そこで今回は、石綿作業主任者について詳しく解説していきます。
目次
石綿(アスベスト)とは
石綿(アスベスト)とは天然にできた、繊維状の無機けい酸塩鉱物の総称です。建材等に広く使われてきた石綿は、肺がんや中皮腫などの原因となることから、現在は輸入・製造・使用などが禁止されています。日本では1970年から1990年にかけて多くの石綿が輸入され使われています。そのため、建築物の解体・回収・リフォームなどの工事の際に、作業する方が石綿を吸い込んだり、大気中に石綿が飛散する恐れがあります。
石綿による健康障害を防ぐために、作業現場では適切な石綿対策を講じることが求められています。
石綿作業主任者とは
労働安全衛生法等の改定により、平成18年4月1日から、事業者は石綿の使用されている建築物や工作物の解体等の作業、その他石綿が含まれている製品の製造、取扱い作業については、石綿作業主任者講習を修了した者の中から石綿作業主任者を選定し、その者に作業方法の決定や作業者の指揮等を行わせなければならないとされています。
石綿作業主任者技能講習を修了するには、都道府県労働局長の登録を受けた登録教育機関が行う技能実習を受講しなければなりません。
受講を希望する場合は、各地区の労働基準協会で申し込むことができます。
静岡県の場合は、静岡県労働基準協会にお問い合わせください。
受講資格は18歳以上で、石綿による労働者の健康障害を予防するための講習と修了試験を計11時間、2日間で行います。
まとめ
建築物等の解体や改修の作業を行うときには、石綿使用有無等の調査が必要ですが、令和2年7月の石綿障害予防規則等の改正により、建築物石綿含有建材調査者が事前調査を実施することが義務付けられました。(令和5年10月1日から施行)
建築物石綿含有建材調査者の講習は、受講資格が設けられており実務経験が必要ですが、石綿作業主任技能講習終了者は実務経験がなくても受講することができます。
2021年5月17日、最高裁は今まで一人親方に認めてこなかったアスベスト被害について国や企業の責任を認める判決をしました。一人親方の皆様にとっても石綿は関心のある事項かと思います。まだ労災保険に加入していないなら、一人親方労災保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。