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紙の約束手形、廃止の方向

2023年06月01日

2021年2月、経済産業省は2026年をめどに約束手形の利用を廃止する方針を決定し、進めてきています。

なぜ廃止するのでしょうか?

約束手形の利用が減少傾向(注)のなか、紙の約束手形は

①現金が手元に入るまでの期間が長く、

②支払期限前に現金化する際の割引料が高い

→約束手形による支払いが、取引上の立場の弱い受注側企業に対する資金繰りのしわ寄せになっているとして、受取側の資金繰りの改善を目的として、廃止を求めています。

また他にも、紙の約束手形は、

③紛失・盗難のリスクがある

④不渡りのペナルティが大きすぎる

一度「不渡り」(支払期日に資金を用意できないこと)を出すと、全ての金融機関に不渡りの事実が報告され、さらに半年で2回不渡りを出すと金融機関と2年間取引停止になり、これは事実上の倒産となります。

⑤取扱いに係るコスト(郵送代、印紙代)や手間がかかる

このような理由が考えられます。

 

手形をやめてどうしたらいいのでしょうか?

①現金による支払い(銀行振込を含む)

②電子記録債権による支払い(インターネットで利用できる手形決済手段)

A社がB社から部品を買って、代金を支払うイメージで説明します。

①の現金ですと、A社は万一約束の日に代金を支払えなくてもB社に支払日を延ばしてもらえばなんとかなるので、不渡りという最悪の事態は回避することができます。B社にとっては支払いサイトの長い約束手形でもらうよりも現金の方が資金繰りが楽になります。

②の電子記録債権ですと、支払いサイトは相談になりますが、紙ではないので紛失・盗難のリスクはなく、A社にとって手形振出の事務手続き、印紙税の負担が減りますし、B社にとっても取り立て手続きの負担がなくなり、さらに、電子記録債権は、分割して支払いに使うこともできます。

 

(注)財務省 財務総合政策研究所の調査によると、手形の発行残高は1990年度には107兆円だったのが、2019年には25兆円にまで減少しています。

参考文献「紙の約束手形、やめませんか?」中小企業庁

https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230222001/20230222001-2.pdf