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解雇の基礎知識

2018年04月10日

解雇とは、「使用者から労働者に対する労働契約の一方的解約のこと」をいいます。

つまり、使用者が雇用の期間を定めていなかった場合は、使用者はいつでも解雇を申し入れすることができるということになっています。

この場合、解雇予告を行うことで、解雇を行えるということになっており、その際、1ヶ月分の解雇予告金を払うのですが、その解雇予告金を払えば、すぐに解雇できるというわけではありません。

解雇はそれまでの労働者の生活の糧を奪うことになるため、解雇ができるのは、きわめて限定的な場合とされています。

解雇には、正当性がなければならず、この正当性とは、「だれもが辞めさせられてももっともだという理由があって、なおかつ使用者側が今まで何度も注意してきたのに、労働者側が一向に改めなくて、だれが見ても解雇以外に方法がないと言える場合」とされています。

解雇とは

(1)解雇の種類

解雇の種類には・・・

普通解雇・懲戒解雇・整理解雇

の3つがあります。

また、絶対にやってはいけない解雇の方法が「不当解雇」です。各々がどのようなものなのかを把握した上で、従業員に対してどのような処置を下すのかを冷静になって考える必要があります。

(2)解雇の手順

会社は解雇を行う場合に、30日前に解雇予告というものを行わなければなりません。

また、解雇予告をしないで即時解雇にする場合は、解雇予告手当というものを支払わなければなりません。

下記に解雇の方法を記載しておりますので、参照下さい。

解雇の決定

解雇予告手当とは、解雇の申し渡しと同時に支払うべきものとされており、予告期間の日数は1日分の平均賃金を支払えば、その日数分だけ短縮できます。

即時解雇

ただし、「解雇予告除外認定」を受ければ、解雇予告手当を支払わずに即時解雇が可能になります。

解雇予告除外認定とは、労働者の責任がある場合と天災事変、その他、やむを得ない事由のために事業の継続が不可能になった場合に、所轄の労働基準監督署長の認定を受けることで即時解雇ができます。

また、解雇予告除外認定の効力は、即時解雇の意思表示をした日に遡って発生することになっていますので、労基署の決定を待たずに、即時解雇を行うことができます。

懲戒解雇について

(1)懲戒処分の中で一番厳しい懲戒解雇

懲戒解雇は、即時解雇される厳しい懲戒処分です。

懲戒処分には、以下のようなものが定められています。

  • 訓戒:始末書を提出させ将来を戒めること
  • 減給:賃金を一定額差し引くこと
  • 出勤停止:就労を禁止すること
  • 降格:役職、等級を引き下げること
  • 論旨解雇:退職願や辞表の提出を促して即時退職を求め、それに応じない場合には懲戒解雇すること
  • 懲戒解雇
    ※懲戒処分が軽いものから順に記載

この懲戒処分の運用で、いきなり懲戒解雇を適応することはかなり厳しく、懲戒処分を段階的に積み重ねていく必要があります。

この懲戒処分の積み重ねが問題社員の解決につながります。たとえば、前に訓戒をした従業員に対しては、次に減給をするようにしましょう。

ただし、懲戒処分を適応するためには、就業規則に懲戒に関する規定を定めておかなければなりません。

また、懲戒解雇の場合、労働者にとっての影響も非常に大きいものになります。

会社によっては、退職金を不支給とする会社もありますし、懲戒解雇された労働者にとってその後の就職活動においてもなかなか困難となるのが現状です。

よって、懲戒解雇を行う場合であっても、慎重に検討を行わなければなりません。

(2)解雇予告除外認定について

解雇予告除外認定は、やむを得ない事由がなければ認定されません。解雇予告除外認定の事由として認められないこと

  • 事業経営上の見通しの誤りなど、事業主の危険負担に属すべき事由によって、資材の入手が困難であったり、金融難に陥った場合
  • 事業主が経済法令違反のために強制収容され、または購入した諸機械、資材等を没収された場合
  • 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がなく、そのために事業が金融難に陥った場合
  • 税金の滞納処分を受けて、事業廃止に至った場合

整理解雇について

整理解雇とは、経営悪化により人員整理のために行う解雇です。

ただし、整理解雇を行う場合には、その前にしなければならないことがあります。整理解雇は経営悪化のために行う解雇とはいえ、あくまでも最終的な手段です。

整理解雇を回避するための施策をとらなければなりません。具体的な措置については、以下の通りです。

整理解雇を行うための4つの基準

  • 会社の経営状態が著しく悪化しており、人員整理の必要がある。
  • 会社が解雇を回避するために、相当な措置を講じた。
  • 解雇対象者の選定基準が客観的・合理性的であって、その基準の適用に妥当性がある。
  • 解雇にあたって労働組合(労働者本人)と十分に協議を行った。

これらをすべて満たして、はじめて整理解雇が可能になります。

退職勧奨について

(1)退職勧奨とは

退職勧奨とは、経営者から「辞めてもらえないか」とお願いをされた従業員が「それなら辞めます」と合意の上で退職届を提出して、辞めることをいいます。

(2)解雇との違い

経営者は従業員を解雇することで、たくさんのリスクを背負うことになります。

  • 解雇の理由が相当なものではないとして、不当解雇であると訴えられるリスク
  • 元従業員から逆恨みを買ってしまうリスク
  • 今いる職員のモチベーションが下がってしまうリスク

ただし、解雇には、法律の定めをクリアすれば行うことができます。そして、解雇には強制力があります。

一方、退職勧奨は法律の定めがありません。

いつでも、どんな理由であっても、誰に対しても、

経営者は自由に退職勧奨を行うことができます。

ここで、解雇と退職勧奨についての違いをまとめましたので、ご覧下さい。

解雇 退職勧奨
法律上の意味 経営者からの一方的な労働契約の解除 従業員と合意の上での労働契約の解除
30日前の予告 必要 不要
法律で定められた あり なし
辞めさせられない理由 あり なし
失業給付受給時 特定受給資格 特定受給資格
退職届 不要 必要
必要書類 解雇通知書 同意書もしくは退職届
退職金の上積み 退職金規定による したほうが良い
実際の際の注意点 法律の確認
合理的理由か
準備期間を設ける
執拗な退職勧奨をしない

経営者必見トラブル事例